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東京のローカルフード「江戸東京野菜」で地産地消!

東京のローカルフード「江戸東京野菜」で地産地消!

コンビニや一部のスーパーで「東京牛乳」や東京のブランド豚「TOKYO X」といった「東京産」の商品を見かけることはありますが、大型スーパーなどで大量に販売されることはほとんどありません。ですが近年ではファーマーズマーケットや農園レストランの人気の高まりに加え、東京都庁が推進する「とうきょう特産食材」に関する取り組みや多くの飲食店の努力によって「江戸東京野菜」として注目されつつあり、東京で地元の食材を気軽に楽しめるようになってきました。
(※この記事は繁体字記事を翻訳してご紹介しています)

「産地直送」から「地産地消」へ

「産地直送」から「地産地消」へ

2010年代に北米から広まった「産地直送(Farm to Table)」の考え方は2015年頃からメディアの紹介によって日本でも認知されるようになりました。現在では一歩先へ進んだ「地産地消」、つまり地元で生産されたものを地元で消費するという方法で、輸送に伴うエネルギー消費(カーボンフットプリント)を減らし、食のサステナビリティに貢献しています。
また、特にポストコロナの時代において、日本の食料自給率の低さは国の安全保障にもかかわる問題として懸念されています。

中でも東京都の食料自給率は長年1%台にとどまり、2021年には初めて0%を記録しました。そのため、「地産地消」への取り組みはサステナビリティの実現だけでなく、有事の際に人々の安全を確保するための手段としての側面も持っています。

《東京特產食材使用店導覽2022》

ここまで読んだ方は、「東京に田んぼや畑なんてあるの?」と思うかもしれませんが、東京都庁が発行した『とうきょう特産食材使用店ガイド』によると、東京産の野菜や果物は主に都心以外の26市・3町・1村で生産されており、また東京湾や11の離島からは様々な水産物が水揚げされています。東京の農業人口は年々減少傾向にありますが、これまで農業に縁のなかった若者が農業に参入し、さらには「都市型農園レストラン」を開業するなど、「地産地消」の理念を実践する動きも見られます。その一例として、ミシュランレストランにも食材を提供する「Ome Farm」と、彼らが運営する神田の飲食店「Ome Farm Kitchen」をご紹介します。

「種からテーブルまで」食の安心安全を

「種からテーブルまで」食の安心安全を

ファッション業界で働いていた「Ome Farm」代表の太田さんは、以前から食に関心を持っていたことに加え、アメリカ滞在中にファーマーズマーケットなどの現地の食文化に触発され、また先天性の疾患を抱える子供が生まれたことをきっかけに、「本当に安心できる農産品を都心近郊で作る」という思いで農業に転身したと言います。取材当日も太田さんは青梅にある「Ome Farm」から約1時間車を運転して採れたての野菜を「Ome Farm Kitchen」へ運び、その一部を近所の住民が購入できるように店頭に並べました。

「Ome Farm」は無農薬、無化学肥料のサステナブルな農業と養蜂を営み、西洋野菜から日本の伝統野菜までを幅広く育てています。そのこだわりの農産品は、「Ome Farm Kitchen」で味わうことができます。旬の野菜をふんだんに使った「ブッダボウル」は味付けこそシンプルですが、野菜の豊かな味わいに舌鼓を打つでしょう。

「種からテーブルまで」というコンセプトを実践し、「Ome Farm」は毎週土曜日に開催される「青山ファーマーズマーケット」にも出店しており、購入者と直接交流できる場を設けています。最近では地元住民だけでなく、旅行者が購入することも増えたそうで、スーパーなどでは見られない「江戸東京野菜」は、一度は味わうべき「東京の味」として認知されるようになってきたようです。

再び注目を浴びる「江戸東京野菜」

再び注目を浴びる「江戸東京野菜」

写真提供:自然派フレンチレストラン「mikuni MARUNOUCHI」

日本のスーパーで流通される農産物のほとんどは、消費者の好みに合わせて改良を重ねてきたものだということをご存知でしょうか?その一方で、「江戸東京野菜」は江戸時代から現在の東京周辺で栽培されていた在来品種の野菜で、形が不揃いで栽培にも手間がかかるため、市場にはあまり出回っていませんでした。しかし、近年ではそのナチュラルで豊かな味わいが再び注目され、東京都庁も飲食店に江戸東京野菜の使用を推奨しています。その先駆けとして、日本人で初めてフランス農事功労章オフィシェ章を受章した三國清三シェフが2009年、東京・丸の内で自然食材にこだわったフレンチレストラン「mikuni MARUNOUCHI(ミクニ マルノウチ)」を開業し、東京の野菜を主役にした料理を提供する草分け的存在となりました。

写真提供:自然派フレンチレストラン「mikuni MARUNOUCHI」

国内外から来た人々が行き交う丸の内に店を構える「mikuni MARUNOUCHI」は「江戸東京野菜」に加え、果物や肉などの食材も東京産にこだわり、東京の大切な食文化を伝えています。毎朝産地から直送されてきた食材によってメニューを調整するほか、食材本来の味を損なわないよう、調理を最小限に抑えた料理を提供しています。時間に余裕がないけど東京野菜を堪能したいという方には、平日限定の「クイックランチ」がおすすめです。

「近くに畑があっても、そこで採れる野菜はスーパーで扱われていませんでした。」

「近くに畑があっても、そこで採れる野菜はスーパーで扱われていませんでした。」

東京都練馬区出身で、大学で都市農業を学んでいたという「押上 よしかつ」店主の佐藤さん。卒業後は大型スーパーの運営会社に就職しましたが、「近くに畑があっても、そこで採れる野菜はスーパーで扱われない」ということに矛盾を感じたため仕事を辞め、1994年に東京産の食材にこだわるもんじゃ焼き店「押上 よしかつ」を開業しました。開業当時、農産品直売所にも江戸東京野菜がほとんど並んでいませんでしたが、佐藤さんはそこからコツコツと食材を集めていき、今でも直売所に足しげく通っていると言います。

スカイツリー近くの路地裏に佇む「押上 よしかつ」では東京産の食材を使った料理を気軽に味わえるほか、お店の特徴でもあるバリエーション豊かな東京地酒を堪能することもできます。また、メニューには食材に関する情報が記載され、店内には東京の食材や地理に関する書籍も置かれており、佐藤さんの「東京産」への強い思いを感じさせます。

最後に

最後に

別れ際、佐藤さんは『とうきょう特産食材使用店ガイド2022』とお店の軒先にぶら下がる緑の提灯を見せてくれました。東京の「地産地消」は注目されるようになってきましたが、まだ法整備など様々な課題が残っていると言います。道のりは長いですが、自治体による取り組みや多くの飲食店の努力に加え、観光需要の回復などもあり、東京が育んだ「郷土の味」はこれからさらに多くの人々を魅了することでしょう。

店舗情報:
Ome Farm Kitchen
住所:東京都千代田区神田須田町2-8-19 101号
アクセス:都営地下鉄新宿線「岩本町」駅A1出口徒歩5分、東京地下鉄丸の内線「淡路町」駅A1出口徒歩9分、JR「秋葉原」駅昭和通り口徒歩7分
営業時間:平日11:30〜14:30、17:00〜23:30/土曜11:30〜14:30、17:00〜23:30
URL:https://www.omefarm.jp/

mikuni MARUNOUCHI(ミクニ マルノウチ)
住所:東京都千代田区丸の內2-6-1 丸の内ブリックスクエア アネックス2階
アクセス:JR「東京」駅丸の内南口徒歩4分、東京地下鉄千代田線「二重橋前」駅1番出口徒歩2分
営業時間:11:00~15:30、17:30~23:00
URL:http://www.mikuni-marunouchi.jp/

押上 よしかつ
住所:東京都墨田区業平5-10-2
アクセス:東京地下鉄半蔵門線「押上」駅B1出口徒歩4分
営業時間:月曜~土曜・祝日前日17:00~24:00/日曜・祝日11:30~14:00、17:00~24:00。最終入店時間22:30。不定休。
URL:https://www.hotpepper.jp/strJ000104266